202号室の、お兄さん☆【完】
心なしか、窓辺のアルジャーノンも喜んでいる気がします。
「あ、開けて下さいっ みかどちゃん! 皆さんも居るんですか!?」
「み、皆さんっ お兄さんもこう言っています! 頑張りましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
お兄さんがあたふたしている時、岳理さんのお父さんの住職さんが到着しました。
「――孔礼寺の鐘を鳴らして35年。助太刀致しましょう」
そう言って、皇汰が描いた×印目掛けて、ハンマーの取っ手で垂直に叩きました。
その姿は、孔礼寺の鐘を鳴らす姿を想像させる程に、――美しかったです。
「あ! ひひヒビが!!!」
ピキピキピキと、稲妻のように裂け目が広がりました。
その時、花忘荘の皆さんの心は1つになったと思います。
岳理さんと葉瀬川さんとリヒトさんと皇汰がハンマーで叩いて、
私とドラガンさんとトールさんと千景ちゃんでスコップで割れ目の周りを叩いて、
ガリッ ガッ ガリッ ガッ
「み、皆さん!? 」
ガリッ ガッ ガリッ ガッ
「ああー!!」
ガッ ドコォン……。
お兄さんの悲痛な声と共に、
やっと壁は壊れました。
――手が入るか入らないかぐらいの小さな小さな穴が。