202号室の、お兄さん☆【完】


「みかどちゃん……。みんな……」


ポロポロと泣くお兄さんを見ると、――胸が痛くなります。


「どこが……」

私は両手を強く握り締めて、叫びました。


「どこが、お兄さんが『可哀想』な子どもなんですか!?
過去は未来より大事なんですか!?」

そう言うと、岳理さんも壊れた壁を見て、クッと笑う。


「――過去は知らねえが、お前を助けたいと思う仲間はいっぱい居るみてぇだぞ、鳴海」

そう言って、立ち上がるように手を差し伸べました。

皆さんも、この状況を微笑ましく見ています。


「わ、私、壊します!!
何度でも、壊します、から!!!
お兄さんが監禁されたくて閉じこもる度に、その壁をぶち壊しますから!」

私がそう言うと、お兄さんはポロポロ泣いていた涙を引っ込めました。


「なんと迷惑な……」
「儂はその心に、武士道を感じるぞ」

「みかどちゃん、格好良い!!」
「俺の壁も壊して!」

「壁の弁償は、私が保険に入っておくわ」

花忘荘の人たちも、和気藹々と話に乗ってくれました。

「――姉ちゃんが壊れた」

「ハッ ブラコン」

「ああん?」

小さな火柱も上がりました。




「ね、お兄さん! 諦めて下さい」
そう言うと、お兄さんは全身を震わせていました。
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