202号室の、お兄さん☆【完】
「ぷぷっ 本当に皆さんはっ」
ぷぷっ、と噴き出したお兄さんは、そのまま笑い出しました。
「……負けました。僕、馬鹿でしたね」
そう言うと、岳理さんの手をとり立ち上がりました。
「もっと、恐ろしいものだと思っていました。
――この、戒めから逃れるのは」
「シリアスに助け出さなくて悪かったな」
皮肉をこめて岳理さんが笑うと、お兄さんも笑顔で首を振りました。
「いいえ。感謝します。皆さんで騒いで、力を合わせて、壁を壊してくれた事を」
そう言って、私を見て微笑みました。
「ありがとう。みかどちゃん。
みかどちゃんのおかげです」
ゆっくり、私の方へ近寄ってきます。
「みかどちゃんに出会わなければ、僕は……僕はずっと監禁されていたままでした」
「じゃあ、もう……大丈夫ですか?」
そう尋ねると、少しだけ顔は曇りました。
「ま……だ、分かりません。今度は過去との戦いなので……。でも、……でも、とてもスッキリした気分なんです。
僕も逃げずに向き合っていきたいと思っています」
そう言うと、私の手を取りました。