202号室の、お兄さん☆【完】
「貴女に出会えて……良かったです。本当に……」
両手を握り締めながら、そう微笑まれてしまいました。
けれど、岳理さんの手を取って立ち上がったのは、お兄さんの意志です。
「この先、辛い事がいっぱいあると思います。けれど、私や岳理さん……花忘荘の皆さんに相談して下さい!
こ……こんな私にだって皆さん、手を貸してくださったのですから!」
キョトンと可愛らしく首を傾げたお兄さんは、ゆっくり笑いました。
握ってくれている手は、震えていたけれど、今度こそ焦らずに見守っていきたいです。
「2人の世界を壊して申し訳ないのじゃが……」
全然申し訳なさそうじゃないドラガンさんが、見つめあっている私たちの間に顔をにゅっと出して来ました。
「ひゃっ!」
「かれこれ4時間も壁を壊したから皆、腹ペコでな。何か一緒に食べんか?」
「「そういえば……」」
私とお兄さんのお腹が同時に鳴りました。
「ごほんっ」
葉瀬川さんが、チラチラこちらを見ながら、わざとらしい咳をしました。
「問題です。私が出張した、たこ焼き王国は何県やろか?」
は……っ
葉瀬川さんが無理矢理、方言を喋ってるー!!!
たこ焼き王国って何だー!?