202号室の、お兄さん☆【完】
「は、はい! 大阪です!」
私が手を上げて答えると、葉瀬川さんは満足そうに頷きました。
「お土産は、冷凍たこ焼きだよー」
そう言ってキャリーバッグから大量のたこ焼きが顔を出しました。
「わーい。美味しそうです!」
「ホンマ美味しかってん」
「葉瀬川さん、その大阪弁、変だよー」
「イントネーションも変!」
リヒトさんとトールさんにそう言われ、葉瀬川さんが少し寂しそうにしました。
「たこ焼きも日本の文化じゃな。日本酒でいきますかな!」
「ちょっと! 先にみかどの部屋を片付けるわよー」
皆さんでワイワイガヤガヤ、ただいまの修羅場が嘘のように、ほんわかした空気が漂っています。
「あ!」
辺りを見回すと、やはり岳理さんの姿がありませんでした。
なので、慌てて階段を降りると、住職さんの車に乗り込もうとする岳理さんの元へ駆け寄りました。
「ま、待って下さいっ」
「………」
岳理さんは私に捕まれた腕を見つめると、住職さんに言いました。
「先帰ってれば?」
住職さんはとーっても不満げに、恨みったらしく岳理さんを見ながら車を発進させました。
「あの……、たこ焼きを食べて行かれませんか?」
そう言うと、何故か舌打ちされました。