202号室の、お兄さん☆【完】
「へ?」
まだ私の部屋でリヒトさんとトールさんがお掃除をしてくれている音が二階から聞こえてきます。
たこ焼きを用意をしていたお兄さんは目をパチパチと動かしました。
お兄さんは、冷凍たこ焼きを大皿に並べていた手を止めて、岳理さんの腕を掴みました。
「4年も月日が経ったんだ。積もる話もあるからな。壁が直るまで俺の家に来い。嫌とは言わせねぇ」
そう言うと、冷凍たこ焼きを奪い取り、岳理さんも並べ始めました。
そ、そんなー!!!
お兄さんと離れるなんて!!
「わ、私の髪は誰が結んでくれるのですか?」
「み、みかどちゃん……」
お兄さんがシュンと悲しそうな表情を浮かべました。
「僕の髪の毛を結ぶ技だけが目当てなんですね……」
「ちがっ! 違いますよ! 離れたくなく……て」
いやいやいやいや、私は何を言ってるんだ!
けど、お兄さんは全く気にしていない様で落ち込んだままです。
「だが、あの壁を修理するまでは、ちと長すぎんか?」
私も首を縦にぶんぶん振ります。
「というか、修理幾らかかるんだろうね」
日本酒を持った葉瀬川さんが呑気に言いました。