202号室の、お兄さん☆【完】
……あっ
壁っておいくら万円するんですかね?
「いいい、いっそ直さないで箪笥で隠すとか……」
「カレンダーなら大学から貰ってきてあげるよ」
チンっと電子レンジが鳴り、第1回目のたこ焼きが出来上がりました。
「着物を掛けて隠すのも風流じゃな」
ふむ、とドラガンさんが日本酒の銘柄を見ながら上機嫌で言います。
「駄目ですよ! あんな真ん中にぽっかり穴が開いたら、強度とか心配ですし」
第2段のたこ焼きをレンジに入れながら、お兄さんが強く反対しました。
「あのー、盛り上がってる所、すいませんが」
よく見たら制服姿の皇汰が、第1回目のたこ焼きを口に頬張りながら、私を見ました。
「ちょっと姉ちゃん借りますね」
私の腕を掴んで、玄関に向かった皇汰を、岳理さんが止めました。
「俺も関係者だ。楠木教授の事なら此処で言え」
偉そうに岳理さんが言うと、皇汰はムッと睨みつけながらも、負けじと偉そうに言いました。
「親父が関係無いってさ」
そう言うと、私を見ました。
「どうする?」