202号室の、お兄さん☆【完】
お好み焼きに、青海苔と鰹節をかけながら、葉瀬川さんも会話に参戦してくれた。
「私がアポとろうか?」
「ぬっ! このお好み焼き麺が入っておらぬぞ!」
「い、いえ、そこまでしてもらったら葉瀬川さんに悪いです」
「ドラちゃん、麺が入ってるのは広島風なんだよ」
「私は分野も違うし、元から楠木先輩には嫌われてるから大丈夫だよー」
「広島風? お祭りの屋台は全て広島風派が占拠しとるのか」
「……ちょっと酔っ払いは静かにして! お口チャック!」
千景ちゃんが言うと、酔っ払いでノリの良い皆さんは口を閉めるフリをしてくれました。
「もうお兄さんの件とは無関係だし、私、1人で父と話してみます」
チラリと岳理さんを見ると、分かりやすいぐらい不機嫌になってます。
「大丈夫です。ただ父の気持ちが知りたいだけです」
それが、残酷な結果だとしても。
少しも私に愛情が無いのなら、私も父に怯える事は無くなるだろうし。
変わる為にも、私も私の気持ちを父に伝えたいから。
「楠木先輩って本当に女の人には不器用だよねー。
大体楠木先輩が本気になる人って皆、私や他の人にとられちゃうし」
葉瀬川さんはドラガンさんにお酒を注ぎながら何度も頷いた。