202号室の、お兄さん☆【完】
「おい」
「は……んむっ!」
振り返ると同時にたこ焼きを二個も口に入れられました。
し、喋れません。
「とにかく、父親と話す時は連絡しろよ」
「もぐ!!!!!」
「もう熱くねぇみたいだな」
私の頬袋で確認した後に、たこ焼きを食べ始めました。
お兄さんが慌ててお茶をついでくれます。
「もぐ! 二個も……ごく…酷いです!」
「食べながら喋るなよ、行儀悪いな」
な……、なんて酷い奴なんでしょうか!
悪魔の様な笑みも浮かべています!
「……? 何か仲良いですね、みかどちゃんと岳理くん」
少し寂しげに、寄ってきた定宗さんを撫でながらお兄さんは言いました。
「ぜ、ぜぜぜんぜ「初デートの相手だからな」
すかさずたこ焼きを此方に向けるので、慌てて口を閉じてしまいました。
「あ! あの時の、お色気作戦は岳理くんだったんですね」
「……そうだよ」
ひっ! そう言えばあの初デートは作戦でしたね。
「お前には、俺とみかどについても色々話さなきゃな」
そう言って、二個私のお皿からたこ焼きを奪いました。
……そんな意味ありげに言わないで下さい。
「まぁ、大体まとまったみたいだし、私も話して良いかしら?」
千景ちゃんが、ティッシュで上品に口を拭きながら言いました。