202号室の、お兄さん☆【完】
2人を見送らねば、と思いつつも、何故か体は動かなくて……。
だ、駄目です……。
し、思考が停止中です。
な……何であの人は、いつも私を悩ませるのでしょうか……。
「みかどー? パジャマの用意できたー?」
遅い私を心配してやってきた千景ちゃんが、ドアを開いて私を見ました。
「――何やってるの?」
私はアルジャーノンを頭に載せて、正座していました。
「こ、心を落ち着けているというか、精神統一と言いますか……」
「ああ。心が騒がしいのね」
そう言って、アルジャーノンをテーブルに置くと、笑われました。
「心を騒がせたのは、どっち?」
あ、悪魔のような美しい笑顔です!!!!
でも、でも今はその話は考えても、口から魂が出てくるので止めて下さい。
次から次へと考えられる程、私は大人ではないのです。
今は父との対決で頭がいっぱいです……。
だ、だから今は蓋をします。
まだ、まだ私にはやる事があるから!
「寝よう! 千景ちゃん」
私は走って、自分の部屋から逃げ出しました。