202号室の、お兄さん☆【完】
「あの、喉が乾いていらっしゃるなら、新メニューの苺シェーキは如何ですか?」
以前お兄さんが作ってくれた新メニューを、メニューを渡しながら進めるが、岳理さんの目は怖いままです。
「お前なぁ」
「あ、バジル達にお水をあげてこよーっと」
私がダッシュでテラスへ逃げると、岳理さんは追いかけて来ませんでした。
なんとか胸を下ろしつつ、バジル達に水をやり始めます。
70000円かぁ……。私のお年玉貯金とバイト代で相殺はできるけど、そうしたら私は1ヶ月、どうやって生活しましょう。
バイト代の賄いだけで生きれるかな……?
色々とお金の計算をしていたら、エプロンのポケットの携帯が震え出した。
マナーにし忘れたみたいです。
慌てて携帯を開いて、
――私は固まってしまった。
携帯画面には、
着信『お父さん』
と出ていたから。
「……っ」
ヴーヴーヴーヴー
なかなか切れないって事は、用があるって事だよね?
バイト中だけどごめんなさい!
ピッと受話器ボタンを押して耳に当てた。
「……も、もしもし」
『もしもし』
それ、は紛れもなく約1ヶ月ぶりの父親の声、だった。