202号室の、お兄さん☆【完】

「へ……?」

「間違いないわっ! このシルクのような毛並み、黒子のようなブチ、ワタクシの探していたヴィクトリアーヌちゅわぁんですわ!!」

そう言って、その女性は……、




定宗さんを抱き締めました。


って、

「えぇえぇえええ!!!!!!」

びっくりして大声を出してしまったら、お兄さんと岳理さんが出て来ました。


「みかどちゃん?」

「……依頼された厚川さん?」
二人も異様な光景に戸惑っています。


「さすが、イケメン探偵ザマス! 誰も見つけられなかったヴィクトリアーヌちゅわぁんを探してくれるなんて!」

ひぃぃ! ザマスって言ってる人、初めて見た!!!

じゃなくて、

「定宗さんは子猫じゃないですよ?」

子猫どころか、ここら辺のボス猫さんです。


「ワタクシの前から消えたのが、20年前ザマス!」


に、20年前!!!!?

あの写真は定宗さんの子猫時代!!?

てか定宗さんは何歳!?

だ……駄目です。色々びっくりです。


けれど、定宗さんは凄い形相で抵抗しています。


「あの……お言葉ですがマダム」
お兄さんが膝を付き、さっと定宗さんを取り返しました。
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