202号室の、お兄さん☆【完】
「し……真実は怖いです。怖かったです……」
認めたくなかったけれども、もう逃げられなかった。
「うぅ……、痛い」
定宗さんが、ハラハラと溢れ出す涙を、溢れる度に猫パンチで拭ってくれます。
嬉しいのに、痛いです。
痛いのに、愛しいです。
「僕は、感謝しますよ、みかどちゃん」
「お、兄さん……」
ふわりと、私と定宗さんを包んでくれた。
甘いシナモンロールの匂いがして、とても安心しました。
「苦しいですよね、……自分が惨めになりますよね。
でも僕は、辛い過去1つ1つが、僕を形成してるのだから、感謝しています」
「お兄さん……」
「そう、気づかせてくれたみかどちゃんにも、感謝します。
みかどちゃんだから、僕の事を分かってくれるんだって」
シュッシュッと私の頬を叩いていた猫パンチは止み、次はお兄さんの頬を猫パンチしていました。
私とお兄さんと定宗さんは、他人で、血なんて一滴も繋がってなくて、1ヶ月前までお互い知らなかったんです。
でも今は、お父さんより側にいます。
……ちゃんと、見てくれています。