202号室の、お兄さん☆【完】
私と皇汰も降っていたら漸くボトボトと固まってきました。

すると、形から入ると定評のある岳理さんが頭にナプキンもつけて、皆さんにフリフリエプロンも配りました。



「みかどちゃん、こうやって高くから落とすと綺麗な丸になりますよ」

「ちょっとこれ牛乳足した?」
「粒餡を入れて巻くんのじゃ」

「ホットプレートいっぱいに焼いたらどう?」
「それ、面白そうだね」


「皇汰くん、ハート型のホットケーキが食べたい」
「あ、じゃあアルミホイルで形を整えて……」

皆さん思い思いのホットケーキを焼く中、岳理さんは黙々と材料を混ぜたり、お皿を並べたり、完全に裏方に専念していました。



「みかどちゃん?」

「は、はい!」


「……気になるよねぇ」

お兄さんも溜め息を吐いて岳理さんを見ます。


「ガチガチで、でも僕のせいだから何も言えないしなぁ……」
「そ、そうなんですか?」


お兄さんはひっくり返すとこんがり茶色く焼けた面が顔を出しました。



「僕もみかどちゃんも守る為にはって一番悩んでるのは、岳理くんだと思う。頑張って、強がって、僕は甘えてばかり……」
そう言えば……。



岳理さんは誰を頼るんでしょうか。
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