202号室の、お兄さん☆【完】


「あのババアに騙されてんなら忠告しようかと思ってたけど、意外と頑張ってたし、


今も怖いくせに、俺の話を聞こうとしていて、本当に面白いヤツだなって思ってる」

手を離されましたが、閉めた小窓から微かに月の光が入ってきて岳理さんの顔がよく見えません。


けれど、優しく甘く、私を包み込んでくれています。




「だから、これは俺の問題。誰かに同調される事はない、俺たけの気持ちの問題、だ。」

「……そ、うですか」



「みかどは親と。鳴海は過去と。俺には俺の、問題だ」

「す、少しでも力にはなれないですか?」

そう聞くと、ゆっくり首を振られた。



「みかどと鳴海が大切だから、悩んでんだよ」

クッと笑うと、ドアノブを回され、私は後ろへふらついてしまいました。



岳理さんの顔は、静かに……穏やかに微笑んでいました。


岳理さんの心の葛藤は、私が入ってはいけないのだとしても……、私はもう少しだけ、岳理さんの近くに居たいです。



私1人では、お兄さんの壁は壊せなかったのですから。




「明日は、付き添えないけど、みかどなら大丈夫って思ってるから」
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