202号室の、お兄さん☆【完】
「……ありがとうございます」
明日で、父との関係も終わると思うと、私の心は夜の海の波のように穏やかで、静かで、冷たくなります。
やっと終われる、喜びなのかもしれません。
「けど、辛いなら無理はすんなよ」
「はっはい」
そう言われ、子どものように頭をポンポンと叩かれました。
優しく、温かい岳理さんの手は大きくて、――ドキドキしました。
「あ、岳理くん、いたっ」
バタバタと縁側を走っていたお兄さんに、私と岳理さんは見つかってしまいましたが、不信に思われる前に、お兄さんが慌てて言いました。
「葉瀬川さんたちが、ホットケーキミックスの箱で、キャンプファイヤー始めたのですが……」
「はぁ!!?」
「ドラガンさんとリヒトさん達は、『本能寺の変』ごっこを始めましたし」
「またですか!?」
此処からでも皆さんが良く見えます。
……既に皆さん酔っ払っているって事ですよね。
「キャンプファイヤーってアイツら、バケツとか用意してねーだろ」
岳理さんも舌打ちすると、外の庭の水道の蛇口をひねりました。
え……? 問題はそこなんですか?