202号室の、お兄さん☆【完】
「…………何?」
「つまり少なくとも4年間は連絡しないで欲しいんです」
父の顔がさっと変わった瞬間、珈琲を持った先程の女性が、
父の珈琲カップに珈琲を注いで、砂糖とミルクを2つずつ並べた。
――――なる程。
「何を馬鹿な事を言ってるんだ」
「だって、お父さんは私の進路や学校生活に口を出すでしょう? 私、今の生活がとても充実して満たされて癒やされてるんです。
邪魔、しないで欲しいんです」
そう言うと、父の目がやっと私を見つめてくれた。
その瞳には、……愛情なんてない、気がします。
「邪魔だと? 私はあんなFランクの大学に行かれて」
「恥ずかしいんですよね」
遮って話すと、更に機嫌が悪くなったけれど、私は続けさせてもらいます!
「お父さんは、私を否定しかしてきませんでした。でも、それは仕方ないんです。
お父さんが望む私には、要領が悪くて慣れなかったから」
実験台のアルジャーノンみたい。
成長するにつれて私は要領も悪く、成績も上がらなくなったから。
「でもね、お父さん。私、頑張ったよ。馬鹿なりに頑張ってたんですよ」
オシャレも、恋も、友達も諦めて、勉強だけを頑張ったんです。