２０２号室の、お兄さん☆【完】

「ごめんなさい。お父さん。自分の意志も持たずに、ずっとお父さんの言いなりで、全てお父さんのせいにして」

確かに不幸ぶってました。


「もう誉めてもらいたい、とか此方を見て欲しい、とか、……一緒に遊園地に行きたいとか、そんな感情は無いんです。
ただ、見守って欲しいだけです」

満たされた今、またあの居場所が無い家に帰りたく、ないです。


一度もどもる事も無く、父に気持ちを伝える事ができて、良かった。
どもらずに済んだのは、気持ちが深海のように落ち着いていたからです。


本当は、もう父の気持ちも聞かず一方的に喋って、言い逃げするつもりでした。


でも、１つだけ。






「お父さんは、お義母さん……真絢さんをちゃんと愛してますか？」



そう言うと、父の顔色が変わった。


「……答えて下さい」




「何、を」




「お父さんにとって『愛情』って何ですか？ 薄れたら違う人を簡単にまた好きになるんですか？」



そう言っていたら、


突然、



本当に突然、


入り口に２人の男の人が入ってくるのが見えた。



父は背を向けているから気づきませんが、あ、あの２人は……。