202号室の、お兄さん☆【完】
「でも、みかどちゃんが頑張ってるって思ったら、乗り越えられました」
そう笑うお兄さんの顔も、今日の空ように晴れ晴れして透き通って居ました。
「…………っち」
岳理さんは舌打ちをすると、私たちに背を向けて歩き始めました。
「車、とってくる」
そう言って去っていく岳理さんを目で追っていたら、突然目の前に薔薇の花束が現れました。
「お、お兄さん……?」
見上げたお兄さんは、ちょっと切ない笑顔でしたが、ゆっくり膝をつき、私に花束を差し出しました。
「今日を乗り越えたら伝えたかった僕の気持ちです」
「あ……」
昨日言ってた、伝えたい気持ち……ですね。
ちょっぴり期待していた私は、唾を飲み込んで身構えます。
身構えていたら、お兄さんはゆっくりはっきり言いました。
「僕と、結婚して下さい!!」
「けっ!?」
え!? ええ!?
ええええぇええぅえええ!?
ど、どうしょう!! 予想してた言葉を飛び越えてきました!!!
け? けぇ!?
え? え? え?
「僕とずっと一緒に居て下さい」
薔薇の花束を差し出しながらお兄さんはそう言います。
――う、受け取って良いのでしょうか?