202号室の、お兄さん☆【完】
「はっはっはー、こんな可愛い生徒に言われたら断れないなー」
「いや、今は教授キャラじゃなくて良いです」
「あー、じゃあ嫌だ」
葉瀬川さんはそう言うと、面倒臭そうにカバーをつけた本……もとい漫画を読み始めました。
「あのね、みかど。みかどに話したい事があって呼んだんだけど」
そう言うと、千景ちゃんは少し目を泳がせてから真っ直ぐ此方を見た。
「その……工事の人の予定が合わないし、壁紙が廃盤になってて取り寄せに時間もかかるみたいだから、
壁の修理をしばらく見送る事になりそうなの」
「ええ!! それじゃあお兄さんは……」
「え、ええ。岳理さんに頼んでもう暫く、孔礼寺に置いてもらう事になりそうなの」
そう言われ、――ちょっとだけ安心した私が居ました。
だ、だって、今は隣にお兄さんが居たらドキドキして夜が眠れないから。
「あら、なんで寂しがらないの?」
千景ちゃんが驚いた顔をして、此方を見た。
私はどう説明して良いか分からずにニヘラと笑った。
「じ……実は」
う、上手く説明できるか分からないけれど、千景ちゃんには隠し事をしたくなかったので。
言葉に躓きながらも、たどたどしく話しました。
「……なるほど」