202号室の、お兄さん☆【完】
私が1人やる気を出していたら、リヒトさんと……トールさんが入店されました。
されたのですが、
「トールさん、どうしたのですか!?」
トールさんの綺麗な右手が真っ赤に腫れていました。
左手で抑えて微笑んでいますが、痛そうです。
「つまらない者を殴ってしまったからね!」
「もうあんな奴、絶交だよ、絶交!!」
爽やかにそう言っていますが、どす黒いオーラが出ています。
お2人が怒っている所は初めて見ました。
とりあえず、忙しそうなお兄さんには言わず、保冷剤をタオルで包んで渡しました。
「ありがとう」
「俺ら、鳴海んとみかどちゃんを応援するからね!」
「え!?」
「そうだよ! あんな女の子に不誠実な奴はハゲれば良いんだよ!」
「俺は水虫になる呪いかけとく!」
「合コンで1人アドレス聞かれない呪いも!」
2人が誰に怒ってるかも分からないし、陰湿でもない呪いを聞きながら困っていると、お兄さんが焼きたてのパンをお盆に乗せてやって来ました。
そして、2人を見て首を傾げます。
「理人さんと透さん、今日は
岳理くんとお出かけじゃなかったですか?」
え……?
も、もしや、呪われていた相手は、
岳理さん!?