２０２号室の、お兄さん☆【完】

「その予定だったんだけど、孔礼寺さんとトールが立ち回りしちゃってさ。置いて帰って来た」
いつも『岳リン』と呼んでいたのに『孔礼寺さん』呼ばわり……。


「どうして喧嘩になったんですか？」

私が水を差し出すと、私には笑ってくれるがすぐに不機嫌になって横を向いた。



「俺たちの美徳に反するからだよ。あんなの俺たちが喜ぶかよ！！ あー！！！！ どうせならアソコを蹴って使いもんにならねーようにすれば良かった！！」

「俺もトールに加担しようとしたけど、孔礼寺さん抵抗しないからね。益々むかつくよね！」

２人は今にも殴りに行きそうな勢いでしたが、『オルティンドー』の接客店員全員で止めると、顔をとろけさせました。


「さ、差し出がましいとは思いますが、岳理さんは不器用で口下手だから……」
「いいのいいの。みかどちゃんはあんな汚物の名前呼んだらいけないよ」

そう美しく微笑むと、名前を呼ぶ事を強く禁じられました。

「……喧嘩は分かりましたが、あまり僕の親友の悪口は止めて下さい」

そう言ったお兄さんはサービスに、苺ミルクセーキを差し出した。


「本っ当に麗しい友情愛だよね」
「傷つけるぐらいなら鳴海んと孔礼寺さんがくっつけば！？」