202号室の、お兄さん☆【完】
「わ、私、お兄さんが好きです……」
そう言って本に顔を埋めてしまいました。
もう顔を上げたくありません。
「――だよね。見てたら分かるよ」
クスッと笑ってくれた千景ちゃんの顔が見れないまま、ただただ気持ちをぶつけてしまいます。
「一緒に居て、心が暖かくなるんです。わ、私、自分に自信なんて持てなくて、勉強しかして来なかったくせに、勉強も出来なくて、でもお兄さんは私もアルジャジーノンもは、花が咲くって、優しくしてくれて……」
「うん」
「あ……あんなに優しい人なのに、心は傷だらけで、繊細で、触ったら、こ、壊れてしまいそうなのに……、
お兄さんから、
私に触ってくれたんです」
嬉しかったです。
辛い事も、悲しい事も、
全てさらけ出してくれて、
私、隣に居れて嬉しいです。
「うん。そうだね。私も2人を見てて、微笑ましかったよ」
本に涙が染み込んでいくのが、頬から感じていましたが、
もう私は顔をあげれませんでした。
「で、も、でも岳理さんは嫌いです」