202号室の、お兄さん☆【完】


「で、も……な、何で私はみかど『ちゃん』で皆さんは『さん』付けなのか分かりません」

そう伝えると、
お兄さんはサボテンを見ながら少し考えながら、優しく言いました。


「ん~~? 引っ越し初日に僕のカレーの話に一生懸命乗ってくれたでしょ?

だから、僕もみかどちゃんの話をいっぱい聞いてあげたいって、知りたいって思ったんです」
そ、そう満面の笑みで言われたら少し、照れくさいです。



「みかどちゃんも……」

「はい!」


「僕、頑張りますから、もう隠し事やら1人で悩んだりやらしないで下さいね?」

そう言うと、返事も聞かずに立ち上がり、レジへ向かいました。

――耳まで真っ赤にして。

わ、たし、幸せで胸がいっぱいです。


お兄さんの気持ちにきちんと応えなければ。

だって、
もう甘えたい人は、あの日に居なくなったのだから。


お兄さんを大切にすると決めた今、心に残したらいけないのだから。



「さて、名残惜しいのですがそろそろ帰りましょうか」

「え!?」

ま、まだ3時のおやつを過ぎたぐらいなのに!!


「戻って駅前で夜ご飯を食べませんか? 岳理くんに良いお店を聞いたんです」


……う、嬉しいですが、
お兄さんはそのTシャツって事を忘れているのでは?
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