202号室の、お兄さん☆【完】
可愛いディナーは『美女と野獣』をコンセプトにした、デザートが魅力的でした。
宝石に見立てた色とりどりのシャーベットと、チーズケーキには薔薇の形のチョコレートが乗っています。
綺麗で思わず写メを撮ってしまいました。
「ARISUGAWAさんのデザインなら、麗子さんが日本に帰って来た時に、連れて来てあげたら喜ぶかもしれませんね」
「確かに。でもおばさん忙しいから、来る時間あるかなぁ……?」
そう言ったお兄さんは、日本人Tシャツではなく、今度こそ無地の白いTシャツです。
背中を気にしないで済むお兄さんは、伸び伸びとしていました。
予約してくれたレストランの席は、外が一望できる窓辺の一番奥。駅前のライトアップが見えますが、一番奥なので、やや駐車場寄りです。
駐車場付近では、駅から出てくる人を待っている車が、結構寄せていました。
「あ、岳理くんの車」
お兄さんが目を凝らしながら、黒いベンツを発見しました。
「お出かけしてたんですかね?」
「僕たちを迎えに来てくれたとか?」
目の悪い私も頑張って見ますが、ベンツの番号までは分からないので、本当に岳理さんか自信が持てません。