202号室の、お兄さん☆【完】


岳理さんに開けて貰い、出て来た方は、……スラリと背の高いスタイルの良い女性でした。

此方からは背を向けていたので良く見えなかったのですが、岳理さんと並んでも身長差は無いみたいです。

何か話しをして、また岳理さんが煙草を吸おうと取り出すと、

そ、――その人が煙草を口から奪い、自分で吸い出しました。

その仕草が、
遠くから見ても親密で、
恋人同士の様に見えました。





「仲が良いみたいですね」

お兄さんが更に凝視しています。

「こ、恋人ですかね?」


「そんなはず!」

お兄さんが強く否定していたら、

ヴーヴーヴー

携帯が鳴りだしました。



どうやらお兄さんの携帯の方です。
お兄さんが慌てて携帯を取り出し、耳元に向けると、







岳理さんがこっちを見ながら、携帯を耳に当てていました。



『バレバレなんだけど?
――まだ出てこないワケ?』


ど、どうやら私たちを迎えに来てくれてたようです。



「あ、今そちらへ向かいますね!!」


お兄さんがそう言ったので、私たちがレストランから出ると、



その女性は小走りで、駅の中へと進んでいました。





「デートは楽しかったか?」
< 415 / 574 >

この作品をシェア

pagetop