202号室の、お兄さん☆【完】
岳理さんに開けて貰い、出て来た方は、……スラリと背の高いスタイルの良い女性でした。
此方からは背を向けていたので良く見えなかったのですが、岳理さんと並んでも身長差は無いみたいです。
何か話しをして、また岳理さんが煙草を吸おうと取り出すと、
そ、――その人が煙草を口から奪い、自分で吸い出しました。
その仕草が、
遠くから見ても親密で、
恋人同士の様に見えました。
「仲が良いみたいですね」
お兄さんが更に凝視しています。
「こ、恋人ですかね?」
「そんなはず!」
お兄さんが強く否定していたら、
ヴーヴーヴー
携帯が鳴りだしました。
どうやらお兄さんの携帯の方です。
お兄さんが慌てて携帯を取り出し、耳元に向けると、
岳理さんがこっちを見ながら、携帯を耳に当てていました。
『バレバレなんだけど?
――まだ出てこないワケ?』
ど、どうやら私たちを迎えに来てくれてたようです。
「あ、今そちらへ向かいますね!!」
お兄さんがそう言ったので、私たちがレストランから出ると、
その女性は小走りで、駅の中へと進んでいました。
「デートは楽しかったか?」