202号室の、お兄さん☆【完】

サボテングリーンカレーを見ながら苦笑する岳理さんをただ、呆然と見つめていました。

「みかどちゃん……?」

お兄さんが此方を覗き込んで、首を傾げます。


「お、兄さん、今日はもう帰ります」

つい目線を地面に落として、逃げてしまいました。


「乗れよ」

「……」

私は返事も出来ずにお兄さんのTシャツの裾を掴みました。

「お兄さん、今日もそばに居た方が眠れますか……?」


そう聞くと、お兄さんは優しく微笑んで首を振りました。



「どんなに離れても、みかどちゃんの優しさは届きますので」

頑張ってみます、と格好良く言いました。

それを聞いて、とても安心しました。


「じゃあ、帰ります。車より歩いた方が早いですから」



私は一度も岳理さんを見る事は出来ずに、お兄さんだけに手を振って、花忘荘へ向かいました。


お兄さんの笑顔は好き、だから。

だから、岳理さんなんて大嫌いです。


フィフティ・フィフティと言いますが、違います。


そんな、そんなモノと一緒にしないで下さい。

嫌いです。嫌い、嫌いです。


 
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