202号室の、お兄さん☆【完】
「つまり、そう言う事だよ」
リヒトさんがニヤニヤと、トールさんをつつきました。
「ごめんね。孔礼寺くんに頼まれて、今日駅で逃げた女の子は俺」
申し訳なさそうにトールさんが頭を下げてくれま、した。
「本当に、岳リンはヘタレだよねー」
リヒトさんもヤレヤレといった様子で私の携帯を覗き込みました。
着信拒否にしても、履歴は残るみたいで画面には18件も着信履歴が残っています。
「どうせ、岳リンの事だから、格好つけて身を引いたつもりだろうけどさ」
座ったまま、葉瀬川さんがダーツを的に投げ出しました。
か、掠りもしませんが……。
「でもこうして、馬鹿みたいにみかど女史を探してるなら、
無駄な努力だよね」
そう言って、落としたダーツを私に渡して来ます。
「みかどちゃん、鳴海んに遠慮したって、気持ちは正直だよ」
「悔しいけどさ、今もこうしてみかどちゃんを想って、色んな場所を探してると思うよ」
それって、
『愛』を感じるよね?
そ、そう2人から言われ、私は言葉を失いました。