202号室の、お兄さん☆【完】
「ほら、みかど女史は、ダーツ初心者でしょ?」
むくりと気怠げに葉瀬川さんは立ち上がり、ダーツの台の前に立ちます。
「このラインから真ん中に当たるのは、まず無理」
そして、もう一歩手前に出てダーツを投げますが、……刺さりもしません。
は、葉瀬川さん、ちょっぴり苦手なのかな?
「力強く打たなきゃ刺さらない」
そう言って、
ダーツ台の目の前まで歩いて行きました。
「そんな初心者が真ん中を狙うには、直接刺すしかないんだよ」
ガッと無理矢理真ん中にダーツを刺し込むと、ダーツ台の上画面が点数を表示してキラキラ光りました。
もはや、投げてもいないルール無視のやり方ですが、
ですが、要するに真ん中に刺す為なら何をやっても良いという事なのですね。
……ダーツは初心者なので、勉強になりました。
「まぁ、恋愛初心者のみかど女史なら、同時にダーツを2本投げても大丈夫なんだよ」
「へ……?」
「要は点数が高い所に刺さった方が、得点になるんだからね」
いっぱい、いっぱい悩みたまえ、と葉瀬川さんは同時に2本、ダーツを投げましたが、
結局、一本も刺さる所を見る事はありませんでした。