202号室の、お兄さん☆【完】
皆さんに勇気づけられ、
蓋をして逃げて、忘れて行った気持ちを、……きちんと拾ってどうするか考えなければいけません。
振られてからでも、遅くないんですね。
葉瀬川さん、リヒトさん、トールさんに連れて行って貰った場所で私は夜空を見ながら、ぼんやりと岳理さんを待っていました。
あの日も、こんな夜空でした。
ただ一目だけ、会いたかった夜の空は。
お兄さんの事で悩む時、支えてもらいました。
抱きしめて貰いました。
本当は私、
抱きしめて、抱きしめて、抱きしめて、離さないで欲しかったんです。
0時に魔法が溶けても、ずっと……。
すると、バイクが猛スピードで突っ込んで来ると、私の目の前で止まりました。
バイクを投げ出すように降りると、その人は私の横に倒れ込みました。
「……お、まえっ」
ヘルメットをとると、その人はセクシーに髪をかきあげました。
ハァハァと荒い息を吐き出し、
汗が頬を伝い落ちながら、
大の字に寝転びます。
「か……、んべんしろよ」
元気な私を見た瞬間、倒れ込んだその人は、心の底から絞り出した声で、――そう言ったのです。