202号室の、お兄さん☆【完】
そ、れは、
私の胸に火傷を作るには、
十分な、熱い熱い言葉です。
フラッと立ち上がった岳理さんは、晴れ晴れとした……いえ、ふてぶてしい程に開き直った顔で、私に右手を差し出しました。
「この階段に忘れていった俺への気持ちは、みかどのだろ?」
そう、言われ、
泣いていいのか、
笑っていいのか、
複雑な顔になってしまいました。
「んだよ、その顔」
クッと岳理さんが笑って、んっと右手を出すように促され、
おずおずと右手を、岳理さんの右手に乗せました。
スイッと掴まれて私は立ち上がらせられ、
キツく、キツく、
――抱きしめられ、ました。
「好きになってごめん、な」
そう言われ、私の胸は壊れてしまいそうです。
ぶんぶんと首を振ると、優しく髪を撫でてくれました。
し、正直にならなければ。
お兄さんが好き、です。
けれど、けれど、本当に、真実を、言わなければ。
お兄さんにこれ以上隠しごとなんて、したくないです。
私の存在に意味をくれたお兄さんに……。
「……みかど、ちゃん?」
そう呼ばれ、岳理さんの腕が緩められましたが、離そうとはしませんでした。