202号室の、お兄さん☆【完】
落としていったモノは、岳理さんによって回収はされましたが、
私のお兄さんを大切に思う気持ちには嘘は無いし、揺るがないのです。
「お兄さん、1つ聞いて良いでしょうか?」
「え、あ、はい……」
まだ、状況が掴めていないお兄さんは、呆然と立ち尽くしていました。
よく見れば、青いチェックのパジャマにスリッパ……。お風呂に入って寝ようとしていたのかもしれません。
「わ、私にキス、できますか?」
そう言うと、お兄さんはみるみるうちに茹でタコに変身しました。
全身が真っ赤です。
じ、自分もなんと大胆な発言をしたのだと、恥ずかしくなってしまいました。
けれど、
お兄さんを抱き締めて、
そばで守ってあげたくて、
そばに居たいのは、本当ですが、
わ、私はお兄さんにき、……キスはできない、です。
こ、こんなに繊細で、綺麗な人になんて。
「み、みかどちゃん……」
お兄さんも、泣き出しそうな切ない顔に歪めていきます。
ストンと階段に力無く座ると、両手で顔を覆いました。
「で、できません」