202号室の、お兄さん☆【完】
「そ、そんな風にみかどちゃんを見た事はありません! みかどちゃんみたいに清らかな女の子に、そんな気持ちを抱くなんて……」
お兄さんは、何度も何度も頭を振りました。
「ただ、ただ側に居てさえくれたら、
他には何も、要りません――…」
そう言ったお兄さんの言葉が、気持ちが、痛いほど良く分かります。
私も、お兄さんをずっと抱き締めていたい。
繊細すぎる、この人の側に居たい、です。
け、れど、この気持ち、この感情は、抱き締めたり、き、キスしたりしない、綺麗な気持ちなんです。
お兄さんは私に存在の可能性を教えてくれた、大切な人。
私はお兄さんの心の壁をめちゃくちゃに壊して、侵入した人。
キスや、抱き締めたりする関係で、壊したくない相手なんです。
「それでは『結婚前提』はおかしいですよね」
お兄さんは力無く、そう言いました。
ぽたぽたと階段に落ちる涙は、私が今流している涙と一緒でした。
「す、好きです。みかどちゃん……。
安心できる、みかどちゃんが好きです
家族のようで、す、好きなんです」
それは、恋とは違う『愛』の相手でした。