２０２号室の、お兄さん☆【完】

「うぅ……。 お兄さん……」

さ、最初は本当に好き、でした。

恋を、しました。


初めて、初めて人を好きになりました。

けれどその気持ちは、お兄さんを知る度に成長して、大きくなって、心から溢れて、形を変えてしまったんです。


最初は、笑顔に。
次は優しさに。

そして、弱さに。


すべて、全て、愛しいです。


こんな私で良いのなら、抱き締めて包んであげたいです。


こ、こんな感情初めて知りました。

この世には、

恋人同士以外にも愛に溢れているのですね。


恋人、
家族、
友人、

ではお兄さんと私の『愛』に名前をつけるならば、何になるんでしょうか―……？


私とお兄さんは、ポロポロと泣きながら、お互いの手を握り締めました。



「でも、大丈夫です」


お兄さんは拭う事もせず、涙を流しながら言います。



「恋人で無くても、結婚しなくても、みかどちゃんの気持ちは側にあるって分かったから、もう大丈夫です」

「お兄さん……」


ゆっくり、ゆっくり、握り締めていた手を、緩めました。










「岳理くんのところへ、行ってあげて下さい」