202号室の、お兄さん☆【完】
見つめて、
逸らさずに、
言ったら……、岳理さんが動きを止め、
「う、わ……」
みるみるうちに真っ赤になっていきます。
パサッ
タオルを頭から被ると、横を向いてしまいました。
「あの、お兄さんに結婚前提にとか言っておいて、む、虫が良すぎるとはお、思うのですが、でも」
「別に関係ねぇ」
そう言うと、いつも通りの無表情な岳理さんの顔に戻ってました。
「今のお前の気持ちが聞ければいい」
そう言うと、少しだけ唇を尖らせました。
「言っておくけど、後でやっぱり鳴海が良いとか言われても、――絶対に離さないからな」
「わ、分かってます!」
「俺は、アイツとは違うからな?
隣に居たら、安心なんかさせねぇから」
「そ、それは、安心させて欲しいです……」
真っ赤になりながら、岳理さんを見上げると、
極上に意地悪な顔で微笑んでいました。
「――本当に?」
そう、言って、
私の肩を抱き寄せると、
ゆっくり顔が近付いて来ました。
「――目、閉じろ」
言われるまま、観念して目蓋を下ろしました。
こ、これが、初めての……。
「岳リン、私のバイクはどこに停めた?」
は、初めての……。