202号室の、お兄さん☆【完】
「あー、倒したからそのまんま。起こせなかった」
「これだから貸したくないんだよねー」
岳理さんは私の肩を抱き締めたまま、平然と玄理さんと会話を始めました。
「邪魔したねー。続きをどうぞ」
「全くだ、消えろ」
そう言って再び私の顔に近付いて来たのですが、
「いややぁあぁああああ!!」
恥ずかしさのあまり逃げ出してしまいました。
「っち。あと10秒遅く話しかけろよな、じじい」
「10秒で良いの?」
「――いや、5分は後が良かったな」
「ば、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!!」
う、うわぁぁん! やっぱり岳理さん怖いです!
「なに、真っ赤になってんだよ」
髪をぐしゃぐしゃと撫でられると、岳理さんの機嫌はピークに達していました。
こんなに活き活きとした岳理さんを見るのは初めてかもしれません。
「てなワケで、帰らずに一緒に寝るか」
「! げ、玄理さぁぁぁん! バイクで送って下さい!!!」
倒したバイクを起こしに行った玄理さんを慌てて追いかけると、縁側で岳理さんは1人、爆笑していました。
あ、あんな風に笑うとは。
というか、危なかったです……。