202号室の、お兄さん☆【完】
「……ありがとうございます」
「ん?」
「好きになってくれて、です」
先程、岳理さんは謝ったけれど、私は嬉しく思っています。
岳理さんが強引に心に入って来なければ、私はお兄さんを傷つけていたかもしれません。
愛情で溢れていましたが、
安心できる大切な相手でしたが、
岳理さんとは違う気持ち、だから。
全員好き、で終わらない深い感情に出会えて、良かったです。
「俺の方が、感謝してるよ」
そう言った後、車に乗り込んで言いました。
「本当は、覚悟してたんだけどな」
「へ?」
エンジンをかけ発進させながら、言いました。
「一応、『迷』探偵だから調べたんだよ」
「何の話ですか?」
「明日、岸六田のばぁさんが来たら分かるよ」
そう言って、煙草を灰皿に押し込むと、スピードを上げました。
「やっと鳴海と話せるようになったけど、これが鳴海の為、ならば」
そう言って沈黙してしまいました。
一体何の話をしているのか検討がつきませんが、
やはり岳理さんは、私やお兄さんの為に色々と影で頑張ってくれていたんだと思います。
本当に分かりにくいですが。