202号室の、お兄さん☆【完】
その日の夜、夢を見ました。
不思議な不思議な、夢物語を。
私は塔の上に閉じ込められたお姫様を助け出そうと塔を登りますが、落ちてしまいます。
困っていると、魔法使いが5人、やって来ました。
魔法使いは花忘荘の皆さんでした。
千景ちゃんは、勇気の魔法を、
ドラガンさんは、知識の魔法をくれたので、私は塔を登り、お姫様を助け出せました。
『ありがとう。みかど王子』
そう言って、お姫様はキラキラと美しい涙を流します。
私は、お姫様役のお兄さんの涙で呪いが溶けて、
1人の『内気な乙女』に戻りました。
そこに、リヒト魔法使いがドレスをくれて、
トール魔法使いが可愛く化粧をしてくれて、
葉瀬川魔法使いが導いてくれる中、王子様の元へ向かいました。
お城へ急いで走って行くと、
王子様は階段で座って待っててくれました。
『王子様役、頑張ったな』
そう言って頭を撫でて、抱き締めてくれました。
『今日からは、俺のお姫様だ』
そう言われ、私は王子様の腕の中でずっとずっと泣いていました。
それは、幸せな涙です。
そこで、アルジャーノンから花が咲き乱れ、空を舞い踊り、
皆さん幸せに暮らしました。
素敵な、――素敵な夢、でした。