202号室の、お兄さん☆【完】
「ふあぁあああ」
素敵な夢を見たのに、何故か私はまだまだ眠たくて、つい欠伸をしてしまいました。
教壇では、葉瀬川さんが爽やかな笑顔を振りまきながら手にはマイクを持ち、国語の講義をしています。
選択科目なのに、前から10列はぎっしり女の子たちが座っていて、皆さん真剣に講義を聞いています。
人気で、ワザと単位を落とした2,3年生の姿も見られます。
『というわけで、これより感想書いた人からおしまい』
葉瀬川さんの隠れた性格が出るのか、大体10分近く早く終わってくれるから、混雑する食堂に早く行けて私も助かってます……が、
『楠木女史は前に来て下さい』
一斉に前に座っている女の子たちが後ろを振り返ってザワザワします。
注目を浴びながら、おずおず前へ出ると、葉瀬川さんは鞄にPCを仕舞いながらマイクを切って、言いました。
「岳リン、着信拒否のままでしょ? 私も乗せてもらうから、今から向かうよ」
「あ! へ、向かう?」
葉瀬川さんは左右に首をポキポキ鳴らしながら、にっこり言いました。
「孔礼寺で、麗子さんがお待ちしてるらしいですよ」
あ、あああ!
誤解の事を思うと、気が重いです……。