202号室の、お兄さん☆【完】
「お前、lineまでブロックしてたろ」
そう、ムスッとしている岳理さんは、今日は高級そうな黒スーツに、髪はワックスで整えて、髭は剃られていました。
髭は伸ばしているのか、いないのか、良く分かりません。
「聞いてる?」
「き、聞いてますよ! 今日は格好良いです」
「……あ?」
怒っている岳理さんが一瞬だけ、眉を潜めました。
「や、今日は、ヤクザじゃなくてインテリ系で素敵だな、と」
段々言ってて、照れてしまった私は、語尾が小さくなってしまいました。
「あのー、バカップルさん、さっさと出発してくれるー?」
葉瀬川さんがヤレヤレと、ネクタイを緩めながら言いました。
は、恥ずかしい!
ば、バカップルなんて……。
「そういえば、お兄さんは今どうしてますか?」
昨日は眠れたのでしょうか……。
そう言うと、岳理さんはミラー越しに私の目を見て言いました。
「ばあさんが寺に着いてから、ずっと電話で『TATSUMI ARISUGAWA』と話してる、よ」