202号室の、お兄さん☆【完】
大学が始まるまで一週間を切りました。
千景ちゃんは、ラーメン同好会、映画鑑賞会、テニス同好会の掛け持ちで忙しそうですが、一週間だけ私にバイトを教えてくれる事になりました。
珈琲豆の種類が意外に多い事と、お皿が思ってたより重い事にあたふたしてますが、お兄さんと千景ちゃんとお揃いのブラウスとエプロンは嬉しいです。
今は学生が多いけど、学校が始まれば落ち着くらしい。
学校も一年目はそこまで詰め込まないで良いらしいので、とても楽しみです。
「みかどー!! これ、外のテラス席に持って行って」
「ち、千景ちゃんっ」
山盛りのリゾットと、明太子パスタを渡されたが、テラス席を見て戸惑ってしまう。
「接客するはずの猫さんが、皆さんテラスに行かれてしまったのですが」
「あ、」
千景ちゃんは思い出したように叫び、てへへと頭を叩きました。
「テラスに居るの、102号室の双子だった」
「ええ!?」
「無駄に美形だから、テラス席にしたら、客引きになるでしょ♪ 挨拶してきなよー。喜ぶよ」
そ、そうなんだ。102号室の人は美形な双子なんだ。
私は勇気を出して、テラス席へ向かった。