202号室の、お兄さん☆【完】
私の肩に顎を乗せると、深いため息を吐きました。
「あの婆さんが、大量のお土産持って帰国した日に気づいた。
車に詰め込んだお土産の食べもんが、全部『ARISUGAWA』だったから、色々調べてな」
み、み、耳元で大事な話をしないで欲しいです。
「それに鳴海が飲食店でバイトしてたり、休学中に調理師免許とったり、カフェオープンしたのもあの婆さんの助言だったらしいし。最近は聖マリア女学院の理事長と接触してたし」
『迷』探偵かと思ってましたが、本当に名探偵なのかも知れません。
「みかどにも悪い話じゃねえだろ? 聖マリア女学院の姉妹校に留学とか、あの糞エロジジイもお前を見直すだろうし」
糞エロジジイって父の事かな……?
当たってるから言い返しませんが。
「だから、身を引いたけど、みかどが俺を選んだんだから、
――離さない」
そう言って、髪を撫でられました。
あ、甘い空気に、息ができません。
「あの! お、お兄さんも大切なのですが、い、今はもっと、岳理さんの事も知りたいと思っています。
そ、それに他の方に流される人生はもう辞めたいので、い行こうとは考えてません」
そう言うと、くるりと岳理さんの方を向かされました。