202号室の、お兄さん☆【完】



「鳴海、俺の左膝開いてるけど?」

煙草をふかしながら、ポンポン膝を叩いて岳理さんはふてぶてしく言ってます。

お兄さんは、顔を真っ赤にして岳理さんを睨みつけていました。

「座りませんよ!!」


「あう。……お見苦しい所をお見せしました」

奪われた眼鏡をかけながら謝ると、お兄さんは苦笑しました。


「いえ。あの……写真ありがとうございます」
お兄さんはそう言うと、写真を眺めてうっとりしました。


「…………」

「で、親父さんは何て?」

さ、さすが岳理さんです。


私が聞けなくてあたふたしてるのに、ど真ん中直球ストレートです。



「はい。あの、後継者を探しているみたいです」

「はぁ?」

「そろそろ引退するから、自分の技や味を受け継いでくれる人々を探していて、誘われました」

へへっと可愛いらしく笑った後、写真を上にかざしたまま、縁側にゴロンと寝転びました。



「できれば、今すぐ




――飛んで行きたいです」



そう言うと、指先で写真をなぞり、深く深く口づけをしました。






「行けばいいじゃん」


 

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