202号室の、お兄さん☆【完】
気まずい雰囲気になった時、岳理さんが帰ってきたので、お兄さんは無言になりました。
「じゃあ、岳リンも連れて3人で行って来たら? その間、私が孔礼寺の管理してあげるし」
「……なんの話だよ」
葉瀬川さんを睨みつけながら、岳理さんはトロが抜かれたお寿司を、何も知らずに食べ始めました。
「あ、あの、みかどちゃん……。岳理くん……」
お兄さんが寂しそうな顔をして、私と岳理さんを見つめました。
「その、食べ終わってからで良いので、2人の時間をくださいませんか?」
神妙な顔付きに、とても不安になりますが、私も岳理さんも頷きました。
「ありがとう、ございます」
そう言って、持った箸は震えていました。
突然現れた父親の存在に戸惑いながらも、お兄さんは頑張っています。
お兄さんの父親が、どんな人なのか想像できませんが、
私も、……私も何か力になるならば全力でなりたいです。
お兄さんが幸せになるためならば。