202号室の、お兄さん☆【完】
「私は、何かあったら飛んで行きます! すぐに会いに行きます!」
「みかどちゃん」
「もっと、期待して良いです! 電話で何を話したか分かりませんが、キラキラと輝く未来を期待して欲しいです!」
岳理さんも煙草を灰皿に押し付けると、お兄さんを睨みつけます。
「行きたいんだろ?
俺の存在なんか気にすんな。
俺がお前の未来を邪魔すんなら、友達の意味がねぇだろ」
「が、岳理くん」
お兄さんは、一滴涙を垂らすと、少しだけ微笑みました。
「ふふ。僕、逃げてばかりですね。弱い自分と戦わなければいけないのに、また逃げようとしていましたよね」
はぁーっと溜め息を零すと、そのまま座り込んでしまいました。
「このまま、3人でずっと一緒が良いなって思ってました。
岳理くんとみかどちゃんのデートを邪魔するのを楽しみにしていました」
「――大迷惑だ」
「……定宗さん、付いて来たがるだろうなぁ」
「でぶ猫と4匹は俺が預かるよ」
「……止めてはくれないんですね」
ははっと笑うお兄さんは、どこか少し吹っ切れた様子をしていました。
「ふふ。
僕、行きます。
変わる為に」