202号室の、お兄さん☆【完】
あれから、『オルティンドー』は休みがちになり、お兄さんは麗子さんとドタバタ出かける事が多くなりました。
夜は毎日、お父さんから電話があるみたいです。
202号室は、今日も静かです。
いいえ。これからしばらく静かなのです。
私は、編入試験を断りましたが、意外にも、
「じゃ、私が受けるわ」
と、千景ちゃんが立候補して、皆さん驚いていました。
……私もびっくりです。
麗子さんは無理だと反対してましたが、千景ちゃんは本気でした。
「そろそろ鳴海さんは『恋愛』にも興味持ってくれるでしょ?」
「千景、ちゃん……?」
「皇汰くんも海外の大学希望してたし、どっちと恋人になろうかしらね」
ほ、本気で言っているのか、妖しく笑うので本音が見えません。
「鳴海さん、女の人が苦手でね。定宗だって女の子なのに、男みたいな名前にしたのよ?
そんな鳴海さんがみかどを好きになったんだから、そろそろ私に興味持っても良いでしょ?」
リヒトさんとトールさんは嘆きましたが、『皇汰とお兄さんは振り回されればいい』と、千景ちゃんの考えを絶賛していました。
月日はどんどん過ぎていき、
とうとうオルティンドーを休業する日が来てしまいました。