202号室の、お兄さん☆【完】

お兄さんの目は、純粋にキラキラと正義感で輝いていましたので、……何も言えませんでした。

ガチャン閉められたらお店のドアが、ずっとずっと私の脳裏に焼き付いていました。






そして、有言実行!
デートになると必ず私と岳理さんの間に割って入るので、岳理さんがポツリと言ってました。


「お前、早く海外行けよ」

と。

それは、岳理さんの揺るぎない本音でした。




月日はどんどんどんどん過ぎて行きます。
ブレーキなんてありません。
止まってくれません。
待ってもくれません。


千景ちゃんは編入試験で猛勉強中、
花忘荘の皆さんもなかなか全員集合できなくなっていたある日、



「できたぞ」


ほんのりヤクザ姿の岳理さんが花忘荘へ、白い箱を持ってやって来ました。


箱の中身は、花忘荘の新しい表札。

猫の足跡と、花とサボテンのイラスト付きの、ほんわか暖かい可愛らしい表札でした。




「てなワケで鳴海の追い出しパーティー兼草むしり大会を開催する予定だから」


「追い出しパーティー兼草むしり?」


聞き返すと岳理さんは意地悪そうに微笑みました。
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