202号室の、お兄さん☆【完】
散々水遊びをした皆さんと、オニギリを食べているお兄さんは、可愛らしいです。
葉瀬川さんにわさび入りのオニギリを食べさせられても。
ドラガンさんに、おにぎりの由来や伝統を延々と説明されても。
リヒトさんに、ちょっとダサいTシャツを指摘され、トールさんに化粧させられても。
千景ちゃんと皇汰から交代でオニギリを食べさせられても。
お兄さんは嫌な顔、1つしないで笑っていました。
定宗さんの姿が無いのには少し寂しそうでしたが。
「よし、鳴海! 表札つけて来いよ!」
そう言って、岳理さんはお兄さんに表札を手渡しました。
皆さんもオニギリやおかずを手に、ゾロゾロとお兄さんの後に続きます。
カタン
簡単に、壁に取り付けられた表札は、
太陽の光にキラキラ輝いて、
――とても、とても素敵でした。
「明日は、7時の直行便だっけ?」
ポンっと岳理さんがお兄さんの肩に手を置くと、
お兄さんの両目からポタポタと涙が溢れていました。