202号室の、お兄さん☆【完】
「やっぱり……寂しいものですね……」
お兄さんは、笑ったつもりかもしれませんが、とても弱々しく顔を歪めただけでした。
「最初は、皆さんみたいに下品なふるまいは、自分は絶対にしないと思っていたのに……」
「失礼な!!」
皆さんが揃ってツッコミを入れました。
「でも、壁の中から見てるだけだったけど、壊してもらって、初めて皆さんの輪に入って……」
ポロポロ流す涙を必死に拭きながら、お兄さんは皆さんを見ました。
「此処が大切な場所だと、分かりました」
そう言うお兄さんに、岳理さんは溜め息を吐くと、抱きしめました。
「また帰って来るんだろーが」
「そ、そうですが……」
「俺らは変わらず、お前の居場所を守っててやるよ」
「岳理くん……」
それに釣られて、皆さんがお兄さんを取り囲みます。
「私はお土産は、英字の漫画で良いから。週刊小説スキップも欲しい」
「お主が乗り越えてくれたから、儂の部屋に畳が敷けるんじゃ」
「花忘荘にはもう幽霊は出ないしね」
「俺らは、アメリカの雑誌が見たいな」
「皆さん……。やはり自分の事ばかりですね」
クスクスと笑います。