202号室の、お兄さん☆【完】
平日の6時なのですが、通勤時間に重なってしまい、丁度渋滞に捕まってしまいました。
私は岳理さんのバイクの後ろに乗り、動かない道路を眺めていました。
「っち。全然動かねぇ……」
「寝坊するからですよー」
何度電話しても岳理さんは出ず、起きたらお兄さんの姿が無かったらしいです。
「あいつ、俺のアラームを止めやがって」
「起きれ無かったのをお兄さんのせいにしてはいけませんよ」
そう言うと、岳理さんが振り返って睨みつけて来ました。
「着いたら、キスすっからな」
「!!」
「――その口、黙らせてやる」
「き、却下です! 却下却下却下却下却下却下却下!!!!」
私が慌てていると、岳理さんの携帯が震えました。
相手は
『葉瀬川 唯一』
そして、少し遅れて私にも電話が。
相手は
『楠木 皇汰』
「――何?」
「おはよう、皇汰」
『鳴海んが現れないんだけどー』
『今、中学近くの港に、不定期便の豪華客船が止まってるんだけど!!』
「はぁ?」
岳理さんは慌ててますが、私はのんびり皇汰と電話していました。
「へー、どんな客船?」
『鳴海んが指定したゲート前に来たけど、
『香港経由、南アフリカ・ヨハネスブルグ行』便なんだよね』
「どこだよ!!」